プラスチックの過去・現在・未来展

フェノール樹脂から100年 そして未来へ 2011年12月22日(木)〜25日(日)

プラスチックの過去・現在・未来展

 当サイト「高峰博士の業績」の項・2)ベークライト事業でも、住友ベークライトについてご紹介しておりますが、下記の林社長のごあいさつにもある通り、今年はプラスチック誕生100周年の年に当ります。そこで当研究会では、東京・科学技術館で催された「プラスチックの過去・現在・未来展」の取材に行って参りました。

ごあいさつ / 住友ベークライト株式会社 代表取締役社長 林 茂(当時)

 2011年は、高峰譲吉博士の斡旋を受けて、プラスチックの先駆けとなるフェノール樹脂が日本で初めて試作製造されてから100年を迎えます。本展は、「日本のプラスチック誕生100周年」を記念し、プラスチックの歴史をフェノール樹脂から現在にいたるまで概観すると同時に、未来に向けてますます広がるプラスチックの可能性を21世紀の現在から展望するものです。
 お子さんから大人まで、またプラスチックに加え科学技術やデザイン、社会史に興味をお持ちの方々まで、幅広くご覧いただき、プラスチックへの理解を深めていただく機会となることを願っております。

スペシャルトーク「プラスチック 次の100年に向けて」

 研究会は、23日、林社長とノーベル化学賞を受賞された白川博士のスペシャルトークをまず取材いたしました。
プラスチックの過去・現在・未来展
 ファシリテーター・山科直子氏の司会により、トークはまず「高峰譲吉博士と『ベークライト』の関わり」から始められ、プラスチック100年の歩みを振り返り、今後100年先のプラスチックの新たな可能性、さらにプラスチックの未来について、大変興味深いトークが展開されました。

 ベークランド博士から高峰博士を通して、日本特許の専用実施権を受けた三共合資会社で、初めて国産プラスチックの試作製造が開始されたのが1911年。ちょうど100年前になるのですが、当時はまだプラスチックとは呼ばれず、「フェノール樹脂」と言われていたそうです。
 プラスチックはご承知のように、古くは電気器具のソケットや食器類、オモチャや家電製品の筐体等に多く使用され、近年では電子部品の基盤等に多用されて来ました。
 本来電気に対して絶縁物質であったプラスチックですが、白川英樹博士が導電性ポリアセチレンを発見して2000年にノーベル化学賞を受賞されて以来、プラスチックの可能性はさらに大きく広がったということです。
白川英樹、林茂、山科直子
写真:左から
 山科直子:東京大学大学院総合文化研究科/科学技術インタープリター養成プログラム特任教授
 白川英樹:筑波大学名誉教授(2000年、ノーベル化学賞受賞)
 林 茂:住友ベークライト株式会社 代表取締役社長(当時)

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体感するプラスチックの時間旅行
プラスチックの過去・現在・未来展
 展示会場では、フェノールの分子構造をもとにした六角形の構造物を巧みに使用した展示が行なわれていました。
 ベークランド博士や高峰博士の説明から、住友ベークライトの歴史年表を始め、アムステルダム・ベークライト・コレクション所蔵のヴィンテージプロダクトなど、貴重な展示品が並べられ、ぐるり巡るとプラスチック製品の「時間旅行」が出来るという趣向でした。
プラスチックの過去・現在・未来展
 その他24日の土曜日には、映画『さくら、さくら 〜サムライ化学者・高峰譲吉の生涯〜』が上映されるなど、住友ベークライト社の化学および高峰譲吉博士に対する真摯な姿勢が感じられるイベントであり、子供から大人まで、楽しみながら化学とプラスチックについて学べる、大変よい記念展であったと思いました。
プラスチックの過去・現在・未来展
▲写真:左から…展示コーナー、メッセージツリー、科学技術館外観

(取材:平成23年12月23日/文責:事務局)

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