日本薬史学会2017年会にて特別講演

10月28日(土)、埼玉県の日本薬科大学にて日本薬史学会2017年会が開催されました。日本薬史学会は、薬に関する歴史の研究が日本の薬学の進歩発展に大きな貢献をすることを目的に、1954年に創立された学会です。常任理事の船山信次教授(日本薬科大学)が2017年会会長を務められました。

さて、発売以来100年を経てもなお第一線で使用されている有名な医薬品に、「タカジアスターゼ」と「アドレナリン」があります。両方の医薬品の発見、抽出・結晶化を高峰博士が成し遂げたということで、日本薬史学会2017年会特別講演の依頼が当研究会の石田理事長にありました。当日は「百年を超えて生きる医薬品 ~ジアスターゼ,アドレナリンと高峰譲吉~」(クリックで講演要旨がご覧いただけます。)と題し、約1時間の講演会を行いました。

雨の中、14:30より座長の田中紀子客員教授による司会で開始した特別講演は、各大学の関係者や研究者、学生を始めとする薬学専門家が80名以上参加され、会場に熱気がこもっていました。
特に、長井長義(アドレナリン発見の立役者、研究助手の上中啓三の恩師)が発見したエフェドリンと高峰博士のアドレナリンの化学式を並べたスライドを使い、由来成分や生成方法は全く異なるものの、偶然にも効能や化学式が似ていて、発見者同士の繋がりが深いことをお伝えした時、興味深そうに頷かれた方が複数いらしたことが印象的でした。

また、いつものように科学伝記マンガ「高峰譲吉博士物語」を参加者に資料として提供致しました。皆さまが興味深そうに手に取られた様子を見て、研究会事務局も嬉しく思います。さらに今回の講演に対し、感謝状を頂きました。医薬品の歴史を通して、高峰博士の功績を伝え、学会の発展に寄与できたことは喜ばしいかぎりです。

講演終了後は、大学に併設される木村孟淳記念漢方資料館を館長でもある船山教授に御案内頂きました。2007年4月にオープンしたこの漢方資料室は世界の生薬標本約1500種、中国や日本での「薬徴」「本草綱目」をはじめとした貴重な資料が展示してあり、一般公開もされています。ご興味のある方は是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

学会関連での講演は、国際微生物連合会議(2011)[過去ページリンク]、産学協力研究委員会(2015)[過去ページリンク] 以来、久しぶりとなりました。中学校や高校、大学の学生たちも勿論ですが、その道の専門家にも是非、高峰博士を発信するキーパーソンになって頂ければと願い、このような機会が増えることを期待しています。

 

記事作成:平成29年10月31日、文責:事務局

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