近畿大学農学部で講演

秋晴れの11月14日、近畿大学からの要請により、農学部の学生を対象に「いまも世界に輝く高峰さんの業績」と題する講演を行いました。
 以下、同大学で研究中の田中啓司様がまとめてくださった記事をご紹介いたします。

 昨年、今年と大学受験者数日本一となった近畿大学のメインキャンパスは東大阪ですが、農学部は、奈良市内や若草山が望める矢田丘陵のはずれ富雄にあります。

 緑に囲まれ、喧騒からは完全に隔離された、素晴らしい学びの環境・立地条件にあり、3000余りの学生がここ富雄キャンパスで学んでいます。
 大学のホームページによりますと、“「農学」で未来を作る-食と環境、人と自然の関係について深く学び、社会や産業のニーズに沿った創造的な研究に取り組む”とあり、今回の石田三雄博士の講演は、一世紀以上前、当時の日本が完全に後進国であった時代に、世界に飛び出し、しかし絶えず日本を意識しながら、今も光り輝く幾多の創造的で、世界的な業績を残された高峰譲吉さんについて学ぶ機会を得て、参集した学生さんの期待は大きく膨らんでいると、講演が始まる前から感じ取れました。
 この度の講演は、応用生命化学科・松田一彦教授のアレンジにより、農学部の200名を超える学生を対象に行われ、それに対する感想が寄せられました。

 また、石田博士の講演に対して質問を受け付けましたので、その一部を紹介いたします。“クロマトグラフィーなどの分離技術の無い時代に良く単離されたのは驚きです”、“NPO法人の活動として、まだ発掘されていない高峰博士に関する資料を発掘するということですがどの様な活動をされているのですか?”、“アドレナリンを副腎から単離されたのですが、副腎にどれくらいの量が含まれているのですか?”、“高峰さんが海外に出られず日本にとどまっておられたらどのような業績をなされたと思われますか?”、“当時高峰さんは、何を思って仕事をされていたのでしょうか?”、“今からでも、ノーベル賞の対象にはならないのですか?“など、これから本格的に科学を学ぼうとする学生や、聴講された教員の方々から多くの質問が寄せられました。

 最後に、高峰譲吉の生涯と業績を描いたマンガ本が聴講者全員に手渡されました。今回の講演では、高峰譲吉さんの生い立ちから始まり、科学者としての活動だけでなく、米国での大使に優る活動にまで触れられ、質問を含めて1時間半では、すべてを語りつくしていただくには短かったと思いますが、石田博士が非常に簡潔に話をまとめられたことで、面白い、あるいは高峰さんに感銘を受けたとの感想が寄せられています。それとともに、アドレナリンやタカジアスターゼの作用、効能と、人類に対するこれまでの貢献についてももう少し科学面で突っ込んだお話をしていただきたかったとの、これから科学を勉強しようとする学生さんからの忌憚のない素朴な要望も寄せられており、今回の講演が学生さんに好評に受け入れられた結果の要望と感じ、高峰譲吉の生きざまと業績が、間違いなく講演を聴講した学生達にとってある意味身近な存在となり、今後に向けての大きなモチベーションになったと確信しました。

(記事作成:平成27年12月17日、文責:田中 啓司)

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