高峰さんの故郷・北陸で講演
11月9日(水)晴れ、15度。小春日和の中、北陸新幹線「はくたか」で東京を出発。色付き始めた道中の山々を横目に、気持ちの良い往路となりました。
左:北陸新幹線 はくたか 右:北陸新幹線より榛名山を望む)
昨年に続き、毎年恒例の講演会が高岡市立芳野中学校にて行われました。
当研究会による講演会は、高岡市立中学校全12校での開催を目標に、高峰譲吉博士顕彰会が中心となって第1回目の国吉中学から始まり、今年で9校目となりました。
<各中学校での講演会の様子>
> 高陵中学校
> 高岡西部中学校
> 南星中学校
> 志貴野中学校
残すは、伏木中学校、五位中学校、福岡中学校の3校となっています。毎年世話役は、ゆかりの会副会長・顕彰会世話役の藤森氏にご尽力頂いております。
余談になりますが、昨年ご案内頂いた高岡御車山が、18府県33件の祭りで構成される「山・鉾・屋台行事」としてユネスコ無形文化遺産に登録されることが決定いたしました。来年の4月30日、5月1日は一層の人出が期待されます。 > 詳しくは、こちら
さて、今回は、富山県立伏木高等学校と金沢工業大学においても講演会を同時期に開催し、3日間にわたり中・高・大の幅広い年代の学生たちに向けて高峰博士の業績を紹介することができました。以下、各々の学校ごとに講演会の様子を紹介します。
高岡市立芳野中学校(11月9日)
講演初日の高岡市は、曇りのち小雨、気温9度で肌寒い一日となりました。今年で一番の冷え込みとのことで、会場の体育館にはストーブがたかれ、全校生徒と先生方約760名が聴講しました。
講演会名は「平成28年度高峰譲吉博士顕彰会講演会」、テーマは「いまも世界に輝く高峰さんの業績」です。講師は当研究会の石田理事長(当時)が務め、消化酵素「タカジアスターゼ」の発明や、アドレナリンの世界最初の結晶化、アメリカへの日本の桜の寄贈など、多岐にわたる高峰博士の業績について紹介しました。
生徒からは「自分は受験生ですが、勉強を頑張るために自分の意志でアドレナリンの出すにはどうしたら良いですか?」や「高峰さんの子孫は、現在どうされていますか?」などの質問が飛び出ました。
石田理事長は、「好奇心があれば、アドレナリンがなくても充分に良い勉強ができます。好きなこと、勉強したい分野を見つけ好奇心を大切に励んでほしい」とエールを送りました。
また、世話人の藤森氏は高峰博士の遠縁にあたります。高峰博士の母上は、鶴来屋(江戸時代創業の造り酒屋)の津田家出身で、藤森氏の母上も同じ系譜です。
参照:> ゆかりの地…1-2)富山県高岡市(2)
高峰博士の直系の子孫は、残念ながら2013年に最後のお孫さんが亡くなったことで途絶えてしまいました。
参照:> 高峰夫妻の一人の孫が逝去
左:芳野中学校体育館にて 右:校長室にて(左から世話人・藤森氏、石田理事長(当時)、新保教頭先生)
富山県立伏木高等学校(11月10日)
講演2日目、前日同様やや冷え込みが続きました。伏木高校は、県内で初めて国際交流課を設置し、中国語、ロシア語、韓国語、英語の教育に力を入れている国際色豊かな学校です。今回の講演に参加した生徒は、来春に米国、フォートウェインにある姉妹校ビショップ・ルアーズ校での語学研修を経て、ワシントンを訪問する予定です。
タカジアスターゼの発明やアドレナリンの結晶化はもとより、事前学習の一環として、ポトマック河畔の桜についても身近な話題として紹介しました。
科学者や実業家として活躍しただけではなく、日米の懸け橋となり尽力した人物が地元で生まれたということをより身近に感じてもらうと共に、高峰博士の思いを伝えることができ、大変有意義な講演会となりました。
伏木高校 視聴覚室にて →
当日は球技大会があったそうですが、疲れもたまる中、約30名の生徒達は真剣な様子で最後まで講演を聞いていました。
金沢工業大学(11月11日)
講演3日目は、雨上がりの気持ち良い天気となり穏やかな一日となりました。
金沢工業大学での講演は2回目となります。
昨年から継続している「未来の高峰譲吉博士は君だ!発酵産業活性化プロジェクト」の最終年であり、バイオ化学部応用バイオ学科の尾関教授、相良先生のもと、授業の一環として講演会が企画されました。 > 前回参照
今回は地域・企業と連携した活動拠点として設置された「アントレプレナーズラボ」(12号館)4Fのイノベーションホールが会場となり、日本でも珍しいスクリーン装置(背面から光を当てるタイプで、設置時は日本初とのこと、相良先生談)を使用しての講演となりました。
左:金沢工大イノベーションホールにて 右:最新のスクリーン装置
今回は、応用化学、発酵バイオの勉強をしている学生や先生方、約50名が参加しました。
これまでの中高生に向けた講演よりも専門的な説明が増えましたが、日頃の研究や学習と合わせてより理解が深まったことと思います。
終了後の交流会の中で、発酵をテーマにした小中学生向けの実験キット開発のプレゼンテーションを学生たちから受け、これからの大きな可能性に期待が膨らみました。
研究会としても、今後、継続できる形で協力していきたいと思います。
左:ラウンジにて学生達のプレゼン発表を受ける 右:書籍コーナーにある伝記マンガと石田理事長(当時)
高岡市立博物館(11月9日)
高岡古城公園内にある郷土博物館、高岡市立博物館を見学しました。
正面入口は老朽化に伴い改修工事に入る予定で、横の別口からの入場となりました。
高峰博士の展示コーナーは、ややボリューム感に欠けるものの、博士愛用の眼鏡やタカジアスターゼの薬瓶、看板などの資料が展示されていました。学芸員の仁ヶ竹氏より高岡の開祖や前田家の歴史を伺いました。高岡市のマスコットキャラは利長くん、家持くんの2名です。それぞれ尊敬する人物は、高岡市の開祖、加賀藩二代目藩主、前田利長と万葉集の歌人、大伴家持です。
左:高岡市立博物館の展示コーナー 右:修復工事中の正面玄関にて
高峰公園/高岡信用金庫(11月10日)
高岡を訪れると定例で高峰公園に参りますが、昨年工事中だった公園に隣接する高岡信用金庫営業部の建物が完成していました。理事長の在田長生氏(当時)は、御父上の代から高峰博士の業績を広めるべく様々な活動を展開しておられ、博士への強い思いは我々にとっても大きな力となりました。また、つい先日公園で行われた、生誕祭の様子や今後の課題などについても伺いました。
高峰公園にて(右は高岡信用金庫の在田理事長(当時))
(記事作成:平成28年12月20日、文責:事務局)