4年ぶりに北陸講演活動が復活(2023年)

本年(2023年)は、新型コロナウイルス感染症の流行も収束を見せ、2019年以来、4年ぶりに北陸における教育機関の講演活動が復活しました。また、それに先駆けて生誕祭にも出席いたしましたので、それぞれについてレポートいたします。まずは、11月3日(金)に高岡市の高峰譲吉博士生誕祭に事務局が出席、そして11月8日(水)に金沢工業大学、翌11月9日(木)に高岡市立中田中学校にて、清水理事長が講演いたしました。

 

11月3日(金)高峰譲吉博士生誕祭

生誕祭は、毎年、譲吉の生誕日の11月3日に生家跡地の高峰公園で開催され、譲吉の胸像に出席者が献花を行い、地元の小学生が「高峰博士を讃える歌」を合唱します。この日は快晴で、気温も季節外れの28度まで上がりました。青空の下に川原小学校の皆さんの歌声が響きました。胸像は、1955年(昭和30年)に生誕100年を記念し建立、背面には日本人で初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士の揮毫による撰文が刻まれています。

 

高峰譲吉博士は1854年高岡に生まれ1922年米国で没したがその生涯は真理の探究に捧げられ 偉大なる発明発見によって人類に不朽の恩沢を与えたのであります。生地高岡の人々は、わが国科学の先駆者としての博士 識見高邁な世界人としての博士 を追慕して先に生家の跡を公園とし今またこの胸像を建てたのであります。かくて博士は常しなえに郷土に生きここに来る人々に感銘を与えるでありましょう。

1955年7月 湯川秀樹誌

 

 

また、同日に市内の小・中学生の科学活動の成果に対し、高峰科学賞として表彰式を行います。令和5年度の高峰科学省は、個人が小学生4名(4年生2名、6年生2名)と団体として中学校科学部が受賞しました。それぞれの研究はとてもレベルが高く、発表内容も整理されわかりやすくまとまっています。中学・高校に進学しても、ぜひ研究を続けて頂きたいです。

 

 

11月8日(水)金沢工業大学

金沢工大における当研究会の講演は、2015年から始まり6回目となります。今年は、応用バイオ学科の尾関健二教授の授業の一環として清水理事長が教壇に立ちます。講演は朝1限目の授業で、23号館330教室にて行われ、約70名の学生が受講しました。

前半は、科学伝記漫画「高峰譲吉物語」の動画を流し、後半は講義という形です。9月には応用バイオ学科「未来の高峰譲吉博士は君だ! 発酵産業活性化プロジェクト」の学生が東京都北区の中学校に出張し、科学実験教室を開催しました。

 

 

ちなみに金沢工大は、丹下健三氏の右腕である建築家・大谷幸夫氏が設計し、1969年に竣工しました。当時の植栽が成長することでデザインが完成するため、時間の流れを意識した設計だそうです。大谷氏の代表的な建築物は、1997年に京都議定書が採択された「国立京都国際会館」や「沖縄コンベンションセンター」などがあります。

 

 

11月9日(木)高岡市立中田中学校

高岡市立中学校における講演会は2008年の国吉中学校からスタートしました。以来、毎年1校ずつ訪問し研究会の歴代理事長が講演を行っています。
中田中学校は、14年ぶり2回目となります。当時、講演に参加していた子どもたちが社会人になっていることを考えると継続の重みを感じます。本校は、科学部の活動が盛んでホタルをはじめとする水生生物の飼育・研究や水質の保全活動の成果が認められ、数々の表彰を受けています。

 

 

講演は体育館で行われ、1年生から3年生まで全校生徒約130名が参加しました。生徒からは「アドレナリン抽出で一番苦労したことは何ですか?」と質問があり、「どうやって取り出すかが一番難しい。そういった意味では高峰より、実験の当事者だった上中啓三の方が大変だったかもしれない。でも、研究者を外国に呼び寄せ、実験環境を整えることも大変で、理屈ではなく苦労して幸運を呼び込んだのではないか」と清水理事長が回答しました。

 

 

また、明治維新の前と後では教育制度がガラッと変わったことに触れ、生徒たちと同じ年代のころ、高峰は長崎に一人で留学し、渋沢はすでに商売を始めて、明治天皇は即位したことを伝えました。そして、「皆さんも大きくやりたいことを冒険してほしい」とメッセージを残しました。

 

まとめ

2020年以降も一般の講演会は継続的に行われていましたが、直接子どもたちに対してバイオテクノロジーへ興味を持つ切掛けづくりに尽力するのは久々で、感慨深いものがありました。年内の行事はこれでひと段落ですが、北陸での講演活動は来年も予定されています。長期的に継続しているのは譲吉の故郷である高岡と金沢ですが、研究会では科学伝記漫画や動画を活用しながら日本各地の教育機関で講演を行っています。生活様式が変化している新しい時代にこそ、子どもたちの「科学の力」が必要です。研究会として、一層啓蒙活動に注力していく所存です。

 

記事作成:令和5年12月13日/文責:事務局

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