国立科学博物館「明治150年記念 日本を変えた千の技術博」のご報告

2019年2月末日、上野の国立科学博物館で開催された「明治150年記念 日本を変えた千の技術博」を見学してまいりましたのでご報告します。

名称:特別展 明治150年記念 「日本を変えた千の技術博」
開催期間:2018年10月30日~2019年3月3日
公式サイト:http://meiji150.exhn.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/1000heritages

本展は、明治元年から起算して満150年を記念する大型化学展覧会で、幕末から明治初期にかけての西洋技術との出会いから、大正・昭和・平成に至るまで、暮らしを変えてきた科学や技術遺産600点以上を展示しています。また、科学者・技術者が遺した発明・発見にまつわる貴重な資料やエピソードも紹介されています。

今回の見学の主な目的は、「第2章 科学で変える」に多数展示されている高峰譲吉博士関連の資料を見ることでした。以下に、その様子をご紹介いたします。

展示されていたのはタカジアスターゼの薬瓶及びパッケージ、アドレナリンの薬瓶とパッケージ、それから販売広告で、どちらも発明・抽出化から100年以上たった現在も形を変えることなく使用されている珍しい“くすり“です。

2010年の第1回化学遺産認定において、博士の共同研究者である上中啓三の『上中啓三 アドレナリン実験ノート』が化学遺産 第002号(リンク:http://www.chemistry.or.jp/know/doc/pamphlet_1.pdf)に認定されています。また、2015年の第8回未来技術遺産(重要科学技術史資料)ではタカジアスターゼが登録(リンク:https://www.npo-takamine.org/info/41.html)され、さらに、2018年第9回化学遺産認定では、今回展示されたタカジアスターゼやアドレナリンの薬瓶・外箱に加え各種特許証や商標登録証なども化学遺産 第046号(リンク:https://www.npo-takamine.org/info/58.html)として認定されました。

また博士に関連のある人物やその発明もいくつか展示されていましたので、ご紹介します。
※写真内赤枠は事務局が付けたものです。

帝国大学理科大学の卒業証書(卒業者の中に、同じ加賀藩出身の後輩で学友でもある桜井錠二(リンク:https://www.npo-takamine.org/area/person10.html)の名前が見受けられます。)

東京横浜電話加入者人名表は、電話が日本に導入された最初期の電話番号所有者をリスト化したものです。財界の著名人で、博士とも親交が深い渋沢栄一(リンク:https://www.npo-takamine.org/area/person03.html)、益田孝(リンク:https://www.npo-takamine.org/area/person02.html)、大隈重信らの名前が確認できます。

会場には、アンモニア合成の研究者である田丸節郎の紹介もありました。余談ですが、2012年の第3回化学遺産認定の化学遺産 第012号(http://www.chemistry.or.jp/know/doc/pamphlet_3.pdf)「田丸節郎資料(写真及び書簡類)」において、田丸節郎と博士のツーショット写真が掲載されています。田丸は、ニューヨークの高峰研究所に籍を置いていた時期があり、1917年頃に撮影された写真です。

常設展の会場に足を延ばしたところ、階段の途中に「科学技術の偉人たち -日本の科学者・技術者-」というレリーフがあり、高峰博士もその一員となっていました。

見学に訪れたのは平日の午後でしたが、閉幕間近ということもあってか中々の客入りでした。若い世代の見学者も多く見られ、彼らが展示されている発明品を見て意見交換している姿は、なんだか心強く感じました。

記事作成:平成31年3月28日 文責:事務局

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