めぐろシティカレッジ 近・現代の日本再考講座にて講演会

4月29日(昭和の日)、「めぐろシティカレッジ 近・現代の日本再考講座」の一環として、『人脈が生んだ日米友好のシンボル ポトマックの桜』と題し、石田理事長の講演会を開催しました。

めぐろシティカレッジは、東京都立大学、同附属高等学校、東京都教育庁、目黒区の4者が協力して、目黒区民の生涯学習に貢献し、生活・文化に寄与することを目的に実施している生涯学習講座です。会場は、公立の中・高一貫校、都立桜修館中等教育学校(目黒区八雲1-1-2)の視聴覚室でした。

今回のテーマは、特に日米の桜についてです。1912年に日本がアメリカに寄贈した桜について、高峰博士の業績に加え、普段はなかなか語られない陰の立役者たちにも焦点を当てました。

当日は、最高気温23度の素晴らしい晴天の中、ゴールデンウィーク初日にもかかわらず約50名の方々にご参加いただきました。前回の記事でお伝えした 水野幸吉在ニューヨーク総領事について、皆様も興味を持って頂いたようです。資料として「明治の群像・断片 その7 異色の駐米総領事 水野幸吉」のエッセイもお配りしました。

講演終了後に受けた質問やご意見の抜粋とともにアンケートの集計結果をお伝えいたします。

<Q&A>

(1)桜の贈呈について高峰博士が果たした主導的な役割の内容をもう少し詳しく教えて
いただきたい。

石田理事長:当初は、ヘレン・タフト大統領夫人、シドモア女史は市民から寄付を募って、100本、200本の桜を送ろうと企画していたが、この話を聞きつけた水野総領事がホワイトハウスへ赴き、「せっかくですから、日本からアメリカへの贈り物として受け取って頂けるのなら、もっと大規模にやりましょう。」と伝えた。そして、高峰博士に相談したところ、予算の工面は何とかします、ということになった。

(2)お返しにハナミズキが送られたのはなぜでしょうか?送られた場所というのは決まっているのですか?

石田理事長:まずアメリカは、日本に生えていない植物をいくつか提案しました。日本側がその中からハナミズキを選んだのです。個人的なことですが、たとえば上野の不忍池の周りにハナミズキを植えていたら、アメリカの桜と対比できてよかったかもしれないと思います。

(3)ハナミズキが気候的に日本に順応するということは研究済みだったのですか?

石田理事長:桜の場合は、アメリカの農場試験場の人は、桜を試験的に植えて研究していた人がいたので、寄贈されても育てていけるという自信はあったようです。日本も同じように植物学者がハナミズキを含め、色々と研究をしていたので、そういった背景はあるだろうと考えます。

(4)ソメイヨシノをはじめとした11種の桜が寄贈されて100年以上がたちます。例えば、ソメイヨシノの寿命は50〜60年と聞いています、最初に送った桜は枯れるかダメになってしまい、植え代えられているのではと推測します。桜の更新についてはどのようになっているのでしょうか。

石田理事長:ワシントンのパークサービス(公園管理局)はとても熱心で、最初から次に植え代える苗木を、苗畑をつくって同時進行で育て始めていた。だから今も立派な桜が咲いています。
ニューヨークは、これをやらなかったため、悲惨な状態になっている。
※ワシントンへの桜寄贈と同時に、ニューヨークにも桜が贈られ、植樹された公園は「さくらパーク」と呼ばれている。

(5)先程、ニューオーリンズ万博の掲示物リストがありましたが、具体的に掲示された教科書類はどのようなものがあったのですか。

石田理事長:学校や幼稚園などの教科書や読ませていた本、定期刊行物、手芸学校の手引き、こういったものを見ると昔から熱心に指導していたものだと思う。小さいころから、教育にこれだけ力を入れているのは驚きである。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)もこれらを見て、びっくりして、日本に行きたくなったそうです。

(6)ワシントン・ポトマック河畔の桜は、いわゆる日本人の想う桜の風景と違い、
石田理事長:アメリカ人好みの風景になっていて、同じではないのではと推測しますがどのような様子でしょうか。

石田理事長:桜の下は散策することができ、上下左右どこをみても桜が見えることを楽しんでいる様子です。桜の下で座っておやつ食べても良いです。日本は並木で植えられることが多いのですが、アメリカではどこからでも見えるよう取り囲むように植える傾向があると感じます。

(7)4月25日に園芸高校のハナミズキの木を見てきました。すごい大木で、下の方はボロボロでしたけれど、上の方に花が咲いていました。

石田理事長:それは素晴らしいですね。(当時贈られたハナミズキの中で現存する)最後の1本なのです。

(8)なぜ、高峰博士のことを研究しようと思ったのですか。

石田理事長:2005年、上野の国立科学博物館で北里柴三郎150周年の記念展示を見た帰り、1歳年下の高峰さんは翌年が150周年だと気がつきました。自分は、200周年の時この世にいない。「来年やるしかない」と思い立ち、興味を持つ仲間を集め同じ場所で開催した、これがスタートでした。

<アンケート集計結果>

めぐろシティカレッジ 近・現代の日本再考/2017年4月29日
人脈が生んだ日米友好のシンボル、ポトマックの桜 アンケート集計結果(有効回答数:42名)

Q7 この講座についてのご意見やご感想を御自由にお書き下さい。

・アドレナリン・タカジアスターゼに関心が持ててよかった。

・明治の先駆者で知らない人物がまだいるんだろうと思う。こういう機会がないと気付かない。

・中高時代のクラスメイト20名で各月セミナーを設けているので是非話題にしたい。

・ドクター高峰の業績がこんなに偉大なものだったことを知らず、恥しい。ポトマックの桜のことしか知らなくて、日本国内でもう少し広く知って欲しい。

・4月25日、園芸高校でハナミズキの木を見てきました。101年の大きな老木でしたが、先の方に白い花が咲いていました。

・高齢にもかかわらず2時間の講義をされたことに感心。今後もお元気で活躍されることを望む。

・非常に短い時間で伝記をまとめていただき、今後の研究に役立ちました。また非常に広い分野から資料を作られていて、参考になりました。

・知らない事を知り、少しでも知識人になった感じです。先生もとても良い感じの人でした。

・江戸時代からの教育熱心さを改めて分かった。その時代に勉学をした人たちが明治の偉人とは! 石田先生ありがとうございました。私は山城高校(旧三中)卒業生(昭和30年卒)です。

・新鮮で大変興味深い内容でした。

・貴重な資料を提供していただき感謝申し上げます。パワーポイントを活用され、興味深く講義を聴くことができ、大変よく理解できました。食物アレルギーの防止にアドレナリンのエピペンが有効だったこと初めて知りました。大いに広めていきたいと思います。

・高峰氏の業績の多大さに感銘を受けました。よくぞ日本の為にと。資料(立派な)をしっかり読ませてもらいます。有難うございます。

・桜から、すばらしい話、本当にありがとうございました。今年一年間楽しみです。

・5/3、子供と孫に話します。

・大変有益な話、有難うございました。先生と同年齢ですが、高峰先生の話、知りませんでした。

・タカジアスターゼと桜の花は少しだけ知っていましたが、とても明治時代に素晴らしい仕事をたくさん日本の為にされていることは知りませんでした。

・高峰博士のことをあまり知らなく、お話をおうかがいして感動しました。もっと詳しく勉強したいと思います。

・貴重な内容の講義で、思わず目・耳をみひらく思いがあります。ただ、120分の講義のプレゼンテーション方法はもう少し改善してほしい。

・ポトマックの桜は知っていましたが、それが実現する過程を知ることができてよかったです。いろいろな人々の大変な苦労があったこと、もとはといえば、日本での桜の風景に感動したエライザさんという一女性に始まることなど。高峰博士にとってはたくさんの業績の中の一つにすぎないような気がしました。初めて知りましたが、偉大な方だったんですね。

・近代化するうえで様々な人が尽力したことが、この講座を通じて理解することができました。

・製薬会社に勤めていたのに、高峰博士の業績をまったく知らず、大変勉強になりました。

・高峰博士のことは全く知識がなかったので、本日の講座はとても刺激的で興味深かった。同博士、並びに業績について勉強したいと思った。

・いつもニュースで見ている桜のことを知ることが出来、よかったです。ステキな先生とお写真ですね。

・知らないことが分り、興味深かった。

・高峰譲吉博士の業績を知ったことや、日本古来の麹の力、すごいと思った。

・何かをなすには人脈が必要であり、大事にしなければと思う。桜が11種だったこと、なぜポトマック河畔だったかということを知らなかった。いろんなことに興味を持ち、疑問を持ったら調べる考えることをしていきたいと思う。

記事作成:平成29年5月17日、文責:事務局

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