相模原市立博物館で近・現代史講演会を実施 「バイオテクノロジーの父 高峰譲吉 その多様な人間像」
2025年2月9日(日)、神奈川県の相模原市立博物館にて開催された近・現代史講演会「バイオテクノロジーの父 高峰譲吉 その多様な人間像」に清水理事長が登壇しました。
会場となった相模原市立博物館は、隣接する宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパスと連携していて宇宙に関する展示が充実しており、エントランスホールには、小惑星探査機「はやぶさ」の実物大模型があります。また、郷土の自然や歴史に関する展示や研究活動にも力を入れており、今回の講演企画は、郷土の偉人である尾崎行雄と高峰譲吉の関係にも焦点をあて、地域の歴史教育を支える取り組みの一環として実施されました。2013年に咢堂記念館で行われた「里帰り桜」植樹を当研究会が支援したのを皮切りに、2024年6月に行われた「尾崎行雄を全国に発信する会」総会への参加、そして今回の講演開催と尾崎と高峰を取り巻く関係者たちの連携も続いています。
今回は途中に休憩をはさんで約1時間半にわたる長い講演となりましたが、高峰譲吉の生い立ちや功績に加え、人間味あふれるエピソードなど、時間の関係でこれまであまり紹介されてこなかった様々な側面が取り上げられました。高峰譲吉は、タカジアスターゼの発明やアドレナリンの抽出・結晶化などを通じて日本の科学技術史に大きな足跡を残しましたが、その一方で、国際交流にも情熱を注いでいました。特に、日米交流の一環として行った桜の寄贈プロジェクトでは、尾崎行雄東京市長との連携がありました。昨年春に修復されたワシントン・ポトマック河畔の桜寄贈の歴史を伝える記念パネルでは、尾崎と高峰が隣り合わせで紹介されています。
講演には「尾崎行雄を全国に発信する会」の関戸会長や大橋事務局長をはじめ大勢の方が参加され、こうした幅広い活動や交友関係とともに「近代バイオテクノロジーの父」と呼ばれる高峰譲吉の多様な人間像を伝えました。「高峰博士のことを深く知るよい機会になった」「地元の名士である尾崎行雄と意外な接点があったことに驚いた」「素晴らしい内容だった。もっと多くの人に伝えたい内容だった」といった感想が寄せられ、講演後の質疑応答も活発に行われました。司会は博物館の長澤学芸員が務めました。旧石器時代が専門で、黒曜石を割って石器を製作する実演などもされています。
当研究会は今後も各地の教育機関や博物館などとの連携を図りながら、バイオテクノロジーの先駆者である高峰譲吉博士の功績を広く発信していきたいと思います。
記事作成:令和7年2月20日/文責:事務局