命日の墓参とその想い ~高峰譲吉の顔立ちとその描かれ方~

高峰博士の命日である7月22日、今年も例年通り青山霊園を訪れました。蝉も鳴き疲れたような真夏の日差しの中、博士の墓前には塩原家による花束が手向けられており、静かさと共に敬意が漂っていました。

博士が亡くなって今年で103年目。墓参の報告はこれまでに何度か書いてきましたが、青山霊園のサインボードを観ながら、改めてその顔立ちに強く魅かれました。若いころはいわゆるエリート然とした表情で、少し怖い雰囲気さえあります。しかし、晩年の顔には幾多の困難を乗り越えてきた人だけが持つ、包容力と深みがにじんでいます。
あちこちにあふれる博士の“顔”
皆さんは、「高峰譲吉の顔」と聞いて、どんな姿を思い浮かべるでしょうか?
実は、博物館や展示のポスター、児童書や伝記の表紙、マンガ、フリーイラスト素材など、私たちの周囲には意外と多くの“高峰博士”が存在しています。
いくつかご紹介します。
| 金沢ふるさと偉人館の企画展ポスター(2018) | ![]() |
金沢ふるさと偉人館の企画展ポスター(2022) | ![]() |
| 金沢ふるさと偉人館のパンフレットに描かれる高峰譲吉 | ![]() |
池田宣政著『世界伝記全集(6)高峰譲吉』大日本雄弁会講談社 1954年 | ![]() |
| 時短だ(フリー素材サイト)にて提供されている高峰譲吉(1) | ![]() |
illustAC(フリー素材サイト)にてていきょうされている高峰譲吉(2) | ![]() |
| 2010年公開の映画「さくらさくら~サムライ化学者・高峰譲吉の生涯」のポスター | ![]() |
研究会が発行している科学伝記マンガ「高峰譲吉博士物語」 | ![]() |
| Newsがわかる特別編 高峰譲吉がわかる (毎日ムック) | ![]() |
最後はいつもお馴染みの高峰譲吉自画像 | ![]() |
如何でしょうか。
それぞれの“顔”は微妙に異なり、表情、筆致、デフォルメの程度もまちまちです。しかし、どれも「高峰譲吉だ」と伝わる力を持っているのが不思議でもあります。博士は日本国内では知る人ぞ知る存在であり、これからさらに多くの人に知られていく可能性を秘めています。
今回びっくりしたのは、フリー素材の提供サイトに「高峰譲吉」が登場していたことです。少しずつですが、確実に高峰博士が広がっている手ごたえを感じます。
当HPでもこのアイコンを使用していきたいと考えています。
100年経っても、記憶されるということ
博士が亡くなったのは1922年。100年以上たった最近でも新しいイラストが描かれ、新たな本やパンフレットが作られています。
子ども向けの教材にも、医療関連の展示にも、博士は登場し続けているのです。
描かれ方ひとつで、人物の印象は変わります。
やわらかい表情で描かれた博士もいれば、厳格で威厳ある姿の博士もいて、描き方が違えば、見える博士も少しずつ違って見えます。
さまざまな表現を通じて、色々な博士像に出会えるのは面白いですね。
おわりに
科学者という括りで見ると、このように多様な表現で描かれ続けている日本人は、あまり多くありません。それはきっと、博士の人生や功績に、時代ごとに“伝えたい何か”が見出されてきたからではないでしょうか。
これからも私たちは、博士のさまざまな面を丁寧に伝えていきたいと思います。
記事作成:令和7年8月13日/文責:事務局














